日本財団 図書館


 

アイオノマー熱収縮チューブの開発

西川 信也 (住友電工(株))

 

6.内容等

電子線やイオン等を用いて、他の方法では得られないユニークな特性を持つ新しい機能性材料やその製造プロセスが実用化されつつある。本シンポジウムでは、企業、国立研究所、大学の第1線の研究者の方々に放射線を用いた機能性の発現、特性の改善、超微細加工、放射線プロセス等について、最先端の研究を講演いただき、併せて今後の展望について議論した。

前半は、?@炭素高分子と異なった光学特性を有するボリシラン系高分子材料のイオンビーム照射による主鎖切断、分解反応などの構造変化に及ぼす照射効果、照射温度の影響、電子物性への影響、高分子材料中の構造欠陥と光伝導度との関係などについて討論された。?Aイオン注入の半導体への応用では、種々のデバイス製造に係わるリン、ひ素、ボロンなどのイオン注入技術、微細化が進むULSI製造に係わる静電破壊やその防止法などの技術的課題、?Bイオンビームの照射効果を利用した半導体素子の特性制御では、少数キャリヤーのライフタイムの放射線照射による制御方法、ガンマ線、電子線、プロトン照射による違い等について、報告と討論が行われた。?C半導体デバイスの作成に係わる微細加工技術については、触媒を用いた化学増幅型レジストとしての高分子膜へのレーザー、X線(放射光)及び電子線の利用技術について、現状と今後の展望が討論された。

後半には、?Dイオン照射による多孔化とガンマ線によるグラフ重合を利用した温度応答性機能性多孔膜の製造、?E実用化に成功した電子線橋かけ反応を利用した超耐熱性セラミック繊維の製造、?F海水中のウランの回収や廃水中の微量重金属の除去に利用し得る放射線グラフト重合を利用する高性能吸着剤の製造、?G従来のものと異なり、透明性、耐油性、耐摩性に優れたアイオノマーを用いる熱収縮チューブの製造等最近の放射線利用技術について報告と討論が行われた。また、?H最近医療用具の滅菌処理で重要な位置を占めつつある電子線を用いた滅菌プロセスの現状について報告があり、高エネルギー電子加速器利用に係わる議論が行われた。

 

 

 

前ページ   目次へ   次ページ

 






日本財団図書館は、日本財団が運営しています。

  • 日本財団 THE NIPPON FOUNDATION